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Angélica Liddell

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頭を整理するのに時間がかかってしまいましたが、5月からスペインに渡り、7月にフランス、アヴィニョン演劇祭で公演。一旦帰国して、9月にブラジルのサンパウロ、サントス2都市での公演、おわりました。


アンジェリカ・リデルは僕の世界を広げてくれました。もちろん実際にヨーロッパや南米へ行ったことで新しいインスピレーションを得た事もありますが、それよりもアンジェリカの生き方、演劇への向き合い方に強い衝撃を受けました。
アンジェリカに初めて会ったのは、日本でのワークショップがきっかけでした。過激な作品をつくる作家だと聞いていたので少し緊張して待っていると、彼女は少し不機嫌そうに危険な空気を出して入ってきました。


そしてワークショップが始まり、彼女が最初に僕たちに言った言葉は「あなたは人を殺したいと思いますか?親を殺したいと思いますか?私は母親をとても憎んでいます。殺したいと思っています。」
僕はその言葉を聞いて、妙に納得してしまいました。それは何か嫌なことをされたり、罵られたりした時に瞬間的にででくる衝動のことではなく、もっと心の奥にこびりついていて自分ではどうしようもできない心についた痣のようなものだと思います。
それは僕にもある。そう思った時に今まで僕の身体の中の滞っていたものが整理され、少し流れだしたような気がしました。そしてそのワークショップでは、今までにない自分が沢山でてきました。


アンジェリカの作品は彼女自身が語るモノローグが主体となっています。自分自身の事と、実際におきた事件、宗教、政治、思想などの言葉が、彼女から発射されます。それはもうマシンガンのように。僕はあれ程速く言葉を発射できる人を他に知りません。時には観客に向けられ、神に向けられ、自分自身に向けられ。
彼女にとって生きるために必要な事なんだと思います。普段の彼女は舞台上の姿が嘘のように穏やかで優しい女性です。舞台上の姿、彼女の書く言葉、彼女の演劇、そして穏やかでチャーミングな素顔。その全てひっくるめてアンジェリカ・リデルなんだと納得できます。


僕にとっての演劇もその様なものなんじゃないかと思っています。日本だけで活動していると、周りに惑わされる事がとてもたくさんあります。もちろん生活の事もあります。理想だけでは生きていけませんが、大事な所だけは見誤らないように生きていきたいと思います。


素敵な出会いと気づきをくれたアンジェリカ・リデルに心から感謝致します。
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by yuichiro_tachi | 2016-09-28 02:26