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最近愛についてよく考えます。 愛というのはとても分かりづらいですね。 それに比べると恋ははっきりしていて、胸がドキドキしたり、その人の事が頭から離れなかったり、その人に恋しているというのは意識しやすいです。 ところが愛になると、そういうはっきりした身体の変化はありません。しかも対象は恋人だけではなく、親、兄弟、子供、友人など様々です。 その人を愛しているというのはどういう状態なのでしょう?どうなったら愛しているということになるのでしょう? そこで世界的な振付家モーリス・ベジャール氏の言葉がとても僕には納得できました。 「振付は1人でするものではない、2人でするものだ。愛のように…」 この言葉は振付の事を語った言葉ですが、かえって振付を通す事で愛がわかりやすく理解できた気がします。 1人でこうだと決めつけた事ではなく、2人の間でお互いの事を思い合い、確かめ合い、時にぶつかり合ってそこから出てきた何かしらの形、その2人でないと出てこなかったその形こそが愛と呼べるのではないか。 だからこそ、愛は千差万別。正解はその当人同士にしかわからない。そんな事になるのかな。 今稽古している智恵子抄は、光太郎と智恵子のある愛の形です。その情熱的な愛の形は、今を生きている愛に対して不器用な僕たちの、希望の光となってくれるのではないかという予感があります。 ![]() ![]() #
by yuichiro_tachi
| 2018-01-10 01:10
人間は一人では生きてゆけないものですが、かといって他人と共に生きるということもとても難しいことです。他人が何を考え、何を感じて生きているのかを知るにはとても時間と体力がいります。しかも自分が生きている間に関わる人は数えられないくらい沢山いるのですから、一人一人そんな事をしだしたら人生が何回あっても足りません。 でも自分の事だけ考えて生きている訳にはいかない世の中ですから、取り敢えず周りの空気だけは読むようにします。空気を読んでいれば一応その場の雰囲気を悪くすることはありませんから、それなりに上手くやっていけます。 これがちょっとおかしくしてしまうじゃないかと思います。空気は読んでいても、結局それは空気で、他人ではありません。人間ではなく、空気を相手にしている訳ですからつかみどころが無くなってしまいます。そしたら余計に他人が見えなくなってしまって、自分自身さえもよくわからなくなって、自分がどう生きたらいいのか分からなくなってしまう。 自由に生きる。それは自分の生きる道を、自然に、自在に、直感的に、何かに導かれるように飛んでいく様なイメージです。 そういう状態に至るには、自分はどうだとか他人はどうだとかそんな括りではなくて、「人間はなんだ」という事に迫らなくては見えてこないんじゃないかと思います。 「人間はなんだ」に迫るにはどうしたらいいのか。それは自分とか他人、または過去と未来、善と悪、美しいとか汚いとか、あらゆる境界を飛び越えてそこに生きている自分(人間)を見つめる必要があると思います。そこから人間が見えてくれば、もっと自由に生きられるはずです。 そして僕たちは、その掴み取った感覚をなんとか形にして見える様にするのが仕事なのではないかと思います。 今、小池博史さんの作品の稽古をしながらそんな事を考えています。題名は「世界会議」。世界各国の偉人、賢人、狂人、独裁者たちが、あの世とこの世の境界で右往左往しながら語り合います。言葉は勿論、音楽、身体、それらを飛び越えた多様なイメージが交錯してどこに向かうのか。今からとても楽しみです。 本番は1月28日から2月5日まで吉祥寺シアターにて。是非見に来てください。 ![]() #
by yuichiro_tachi
| 2016-12-12 03:07
![]() 頭を整理するのに時間がかかってしまいましたが、5月からスペインに渡り、7月にフランス、アヴィニョン演劇祭で公演。一旦帰国して、9月にブラジルのサンパウロ、サントス2都市での公演、おわりました。 アンジェリカ・リデルは僕の世界を広げてくれました。もちろん実際にヨーロッパや南米へ行ったことで新しいインスピレーションを得た事もありますが、それよりもアンジェリカの生き方、演劇への向き合い方に強い衝撃を受けました。 アンジェリカに初めて会ったのは、日本でのワークショップがきっかけでした。過激な作品をつくる作家だと聞いていたので少し緊張して待っていると、彼女は少し不機嫌そうに危険な空気を出して入ってきました。 そしてワークショップが始まり、彼女が最初に僕たちに言った言葉は「あなたは人を殺したいと思いますか?親を殺したいと思いますか?私は母親をとても憎んでいます。殺したいと思っています。」 僕はその言葉を聞いて、妙に納得してしまいました。それは何か嫌なことをされたり、罵られたりした時に瞬間的にででくる衝動のことではなく、もっと心の奥にこびりついていて自分ではどうしようもできない心についた痣のようなものだと思います。 それは僕にもある。そう思った時に今まで僕の身体の中の滞っていたものが整理され、少し流れだしたような気がしました。そしてそのワークショップでは、今までにない自分が沢山でてきました。 アンジェリカの作品は彼女自身が語るモノローグが主体となっています。自分自身の事と、実際におきた事件、宗教、政治、思想などの言葉が、彼女から発射されます。それはもうマシンガンのように。僕はあれ程速く言葉を発射できる人を他に知りません。時には観客に向けられ、神に向けられ、自分自身に向けられ。 彼女にとって生きるために必要な事なんだと思います。普段の彼女は舞台上の姿が嘘のように穏やかで優しい女性です。舞台上の姿、彼女の書く言葉、彼女の演劇、そして穏やかでチャーミングな素顔。その全てひっくるめてアンジェリカ・リデルなんだと納得できます。 僕にとっての演劇もその様なものなんじゃないかと思っています。日本だけで活動していると、周りに惑わされる事がとてもたくさんあります。もちろん生活の事もあります。理想だけでは生きていけませんが、大事な所だけは見誤らないように生きていきたいと思います。 素敵な出会いと気づきをくれたアンジェリカ・リデルに心から感謝致します。 #
by yuichiro_tachi
| 2016-09-28 02:26
![]() 2年ぶりに太宰治作「駈込み訴え」を上演します。2年前は4カ所で公演し、賞も頂いた僕にとって大きな作品です。 この作品はキリストを裏切ったユダの言葉で書かれています。ユダのキリストに対する尊敬や憧れ、妬み恨み、感謝と怒り、憎しみなどあらゆるものがないまぜになってでてくる言葉達は、普段は見えない人間の裏側を垣間見せてくれます。 今回はミュージシャンで俳優でもある小木戸利光さんと新たにこのユダに挑みます。 小木戸さんの透き通ったエネルギーの力と2年間で更に鍛えられた僕の身体を通して、2年前には見られなかった景色が見えてきそうな予感です。 お忙しい中だとは思いますが、お時間作って是非お越し下さい。 この公演が終わりましたら、2カ月ヨーロッパに行って参ります。その前に皆様にお会いできるのを楽しみにしております。 文学とパフォーマンス 第1回 太宰治 「駈込み訴え」 「愛ゆえに愛がわからない僕の律動」 ユダはキリストを愛している。しかしその愛によって苦しんでいる。愛することで愛を見失っている。 ユダの愛はどこへ向かうのか。 出演 小木戸利光 立本夏山 原作 太宰治 「駈込み訴え」 4/30(土)15:30/19:30 開演 ※会場は開演の30分前 チケット:前売り¥3,000(1drink付き)/当日¥3,500 会場:綜合藝術茶房 喫茶茶会記 〒160-0015 新宿区大京町2-4 1F 展示「走り火」4/24(日)-4/30(土) 15:00-24:00 場所:綜合藝術茶房 喫茶茶会記 チケットのお申し込みはこちらまで Kazan office. 03-6453-9333 mail@kazan-office.com #
by yuichiro_tachi
| 2016-04-06 17:12
今週末に詩のイベントに参加させて頂きます。谷川俊太郎さんを迎えて谷川さんの詩に様々な表現者たちが挑む、という熱い企画です。
やはり谷川さん人気はすごく、チケットは一ヶ月前に完売してしまっていますが、一応キャンセル待ちの受付はしているそうです。もしご興味ありましたら連絡してみて下さい。 谷川さんの言葉の力をかりてどこまで真実に迫れるか、ヤリます。 ![]() 谷川俊太郎トリビュートLIVE 「俊読 2016」 2016年4月3日(日) 開場/18:00 開演/19:30 (終演/22:30) ◇出演 谷川俊太郎 三角みづ紀 音立日子 佐藤文香 蛇口 大島健夫 アンドリュー・カンパーナ 立本夏山 八男 桑原滝弥 ◇料金 予約/3500円 当日/4000円 (税込。飲食代別途必要) ◇会場 クロコダイル (東京都渋谷区神宮前6-18-8 ニュー関口B1F) TEL:03-3499-5205 http://www.crocodile-live.jp ◇お問い合わせ 詩人類 TEL:090-8545-2708 takiyakuwahara@yahoo.co.jp http://shijinrui.blogspot.jp/ この国の子供たちは皆、この男の詩を読んで大きくなった・・・ さまざまな詩人/アーティストに、谷川俊太郎本人も登場。 あの伝説のトリビュートLIVEが五年ぶりに復活!!! #
by yuichiro_tachi
| 2016-03-29 19:53
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